2017年02月10日
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私たちの体には、ウイルスや細菌などの異物が侵入すると、「抗体」を作ってそれらを排除し、体を守る「免疫」という防御機能があります。この免疫機能が過剰に働き、無害なものを異物として認識して排除しようとする現象が「アレルギー」。花粉症もその一種です。
花粉症の人は花粉が体内に入ると対抗するために「IgE抗体」を作り、鼻や目の粘膜にある白血球の一種、肥満細胞に結合します。抗体がついた肥満細胞は花粉が入ってくるたびに増加。一定量になると、ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質を放出します。この化学物質がアレルギー症状を引き起こし、その出方や量によって症状が違ってきます。ヒスタミンは目や鼻の粘膜の表面にある知覚神経を刺激し、くしゃみや鼻水、目のかゆみを引き起こします。ロイコトリエンは血管を拡張させて粘膜を腫らし、鼻づまりや目のはれ、充血を引き起こします。
腸内フローラとは、多種多様な腸内細菌群が織りなす生態系が、花畑のように見えることからたとえられた表現で「腸内細菌叢」(ちょうないさいきんそう)とも呼ばれます。菌は約5万種類、約1000兆個以上といわれ、腸内フローラの状態は生活習慣や年齢、ストレスによって変化します。
腸内フローラと免疫機能には深い関係があると注目されています。免疫細胞は腸に最も多く存在し、その60%以上が集中。体内に侵入した病原微生物を攻撃する武器となる抗体も腸で作られます。腸内フローラの研究が進み、小腸と大腸の2段階で免疫機能が調整されていることがわかってきました。
健康な人の腸内にはビフィズス菌などの善玉菌が多く、悪玉菌は少数派です。小腸では乳酸菌やビフィズス菌が直接、免疫力をアップさせるように働きます。花粉症などのアレルギー症状は免疫システムが混乱して暴走し、本来なら守るべき自分の体を攻撃するようになった状態です。この「暴走」を是正する働きがビフィズス菌にあるため、ビフィズス菌が減ると腸内フローラのバランスが崩れ、免疫調節機能のメカニズムに異常を起こしてしまいます。
花粉症への効果で注目されているのが、ビフィズス菌のなかのロングムBB菌という菌株です。2004年と05年の臨床試験で花粉症低減効果、予防効果があることが明らかになりました。
BB菌は、日本人なら誰でも持っているビフィズス菌の菌種で、酸に強い特徴を持ち、腸内常在菌のバランス改善や整腸作用、感染予防、下痢予防、血中コレステロールの低下作用など、様々な機能が解明されています。BB菌は小腸で免疫機能をコントロールする効果も検証されていますが、老化によって最も減少してしまうビフィズス菌の一種であることもわかっています。腸内環境を整えるためにもBB菌の減少を食い止めなければならず、積極的なBB菌の摂取が必要であると言えます。
参考文献:
工藤 一彦監修 『生活習慣病を予防する新ヘルシーウォーキング』