2016年12月15日
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血液には、赤血球・白血球・血小板・血しょう・コレステロール・中性脂肪・糖分などの様々な成分が含まれています。この血液中の成分はそれぞれ標準量が決まっていて、バランスがとれています。
ドロドロ血とはこの赤血球・白血球・血小板の量や質に異常が起こり、血液が流れにくくなっている状態を指します。例えば、ストレスが原因のストレス赤血球増多症は血液中の赤血球の比率が上昇するという状態です。愛煙家に多いことから、イライラして煙を吸ったり吐いたりする回数が増え、また汗をかいたりすることで、血しょう中の水分が失われる為だと考えられています。また、動物性脂肪の摂りすぎは中性脂肪を増やし、血小板が固まりやすくなりドロドロ血となってしまいます。
●高脂血症
血液中には血清脂質と呼ばれるコレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸などの脂質があります。血清脂質は、体の組織を作ったり、エネルギー源としてなくてはならない成分ですが、増えすぎると血液をドロドロにして、様々な症状を引き起こすようになります。これが高脂血症です。特に要注意なのはコレステロールや中性脂肪が多くなる事です。動脈硬化を促進させて虚血性心疾患や脳血管障害、脂肪肝やすい炎の引き金となることがあります。
●動脈硬化
動脈硬化は文字通り、動脈が弾力性を失ったり、血管の内壁が厚くなって血液の通り道が狭くなってしまう状態です。血管の老化現象のようなもので若いころのようなしなやかさが失われていくのはある程度仕方のない事ですが、食生活などが原因で急速に血管の閉塞が進んでしまいます。動物性脂肪の摂りすぎでコレステロールが増えすぎると動脈の血管壁に沈着して血管の内腔を狭め、血液を流れにくくさせてしまいます。その他、中性脂肪や糖分などが過剰な場合も動脈硬化は進行します。
近年日本国内でDHA・EPAに関する調査が行われ、次々と研究結果が報告されています。
厚生労働省の研究班がn-3系多価不飽和脂肪酸と虚血性心疾患の関係を調査したところ「魚介類をよく食べる人は心筋梗塞のリスクが大幅に下がる」という結果が得られたようです。
研究内容は40歳~59歳の日本人41,578人に対し、1990年から2001年まで追跡して魚介類の摂取と心疾患リスクとの関係を調べたものです。魚介類の摂取量から割り出したDHA、EPAの1日の平均摂取量が最も多いグループ(2.1g相当・魚介類で約180g)は少ないグループ(0.3g相当・魚介類で約23g)に比べて心筋梗塞のリスクが約65%抑えられたとの結果が出ました。また、冠動脈疾患においても約42%発症リスクが抑えられることが示されました。
また厚生労働省の「日本人の摂取基準【2010年版】」の中でも「冠動脈疾患だけでなく、脳梗塞、加齢黄斑変性症に対しても予防効果(とくにEPA・DHA)を示す可能性が高い。アレルギー性鼻炎や骨密度、高齢者における認知に関してもよい効果があるかもしれない。」と記されています。
このようにDHA・EPAとは健康維持のため欠かせない成分であり、国をあげて摂取を推奨している成分なのです。
近年、深刻な「魚離れ」が続いています。若者だけでなく、中高年の間でも魚の消費量が減り、肉類を好む傾向にあります。厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、国民1人あたりの魚介類の摂取量は2001年以降減り続けて、年代別にみてもどの年代も全て減少しています。
魚を食べたいという意識をもちながらも、時短・簡単・見た目重視の食生活へと変化。「下処理ができない」といった“調理離れ”が敬遠するようになったと考えられます。「魚離れ」という言葉のイメージ調査では「魚の調理が面倒なイメージ」が1位になり、また「魚が食べにくい」とするイメージも高く、魚料理は調理したり食べたりすることが“面倒なもの”となっているようです。
日本では、18歳以上の男女に対して1日1g以上のDHA・EPAの摂取が厚生労働省により推奨されています。しかし、魚の摂取量が多いと思われる50~69歳でも1日0.6~0.7gの摂取量にとどまり、多くの人がDHA・EPAは不足気味。健康の為にも毎日の摂取を心がけるべきです。
●DHA(ドコサヘキサエン)
●EPA(エイコサペンタエン酸)
参考文献:
山田 信博・川島 容子著『専門医が治す!血液をサラサラにして健康になる!』
星崎 東明著
『血液をサラサラにするDHA・EPA』
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2010年版)」
厚生労働省「食品の機能性評価モデル事業(2011年度)」
水産庁「平成25年度水産白書」