2016年03月18日
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あぶら(脂質)は太るというイメージがあり、敬遠している人も多いのではないでしょうか?脂質は体のエネルギーとして使われたり、体を構成する細胞膜や血液、ホルモンなどの材料になるなど、健康を守るために様々な役割を担っています。
脂質といっても、様々な種類があります。脂肪酸は構造の違いから、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類されます。さらに不飽和脂肪酸は一価と多価に、多価不飽和脂肪酸はn-6系、n-3系などに分類されます。
分類ごとに特有の働きがあり、特に、不飽和脂肪酸には血中脂質のバランスを整える作用をもつものもあるため、健康によいと注目されています。
脂肪酸の中には人の体内では合成できないものがあります。それを必須脂肪酸といい、多価不飽和脂肪酸(n-6系脂肪酸、n-3系脂肪酸)があります。体内で合成できないため、食事からの摂取が必要です。
n-6系脂肪酸には、リノール酸、ガンマリノレン酸、アラキドン酸(ARA)などがあり、ガンマリノレン酸、ARAはリノール酸の代謝物です。
リノール酸はゴマ油などに多く、血中コレステロールを減らす働きがありますが、摂りすぎは高血圧やアレルギーの原因になるため注意が必要です。
ガンマリノレン酸を含む食品は、ボラージ草や月見草などで、含有量も少量。その他、体内でリノール酸から合成されます。限られた食材にしか含まれていないため、リノール酸を通じて間接的に摂取されることが多い成分です。不足すると高血圧、高血糖の原因にも。アラキドン酸はレバーや卵などに多く、血圧や免疫を調整する働きがあります。
n-3系脂肪酸には、α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などがあり、α-リノレン酸は主に植物油から、EPAやDHAは魚介類に多く含まれます。
特に、EPAやDHAには冠動脈疾患や脳梗塞、加齢黄斑変性症など様々な予防効果が求められていることから、日本人の食事摂取基準では目標量の下限が設定されています。EPA+DHAで1日1g以上、魚に換算すると1日約90g以上(切り身で1切れ程度)摂取するのが望ましいと発表しています。
しかし近年、食の欧米化により魚離れが進み、日本人の魚介類の摂取量は年々減少。実際のところ、食事では補えていません。毎日の健康維持の為にも積極的に摂取したい栄養成分です。
n-3系列からn-6系列の脂肪酸を造ることはできず、n-6系列からn-3系列の脂肪酸を造ることもできません。また、これらはそれぞれ体内での働きが異なるので、偏りすぎず、バランスよく摂取することが大切です。
●ガンマリノレン酸
●DHA(ドコサヘキサエン酸)
●EPA(エイコサペンタエン酸)
参考文献:
中村丁次 監修『栄養の基本がわかる図解事典』、吉田企世子・松田早苗 監修『安全においしく食べるためのあたらしい栄養学』
吉田企世子・松田早苗 監修『おいしく健康をつくるあたらしい栄養学』
農林水産省ホームページ “脂肪による健康影響”